みさきのココロの扉
働く母の代わりに、炊事洗濯は私と妹達で分担してやっていた。

毎日千円札がリビングのテーブルの上に置かれてあり、千円札をにぎりしめてスーパーに向かっていた。

毎日晩御飯を考え、学校へ持っていくお弁当も自分で作った。
変態父親は数回養育費を振込んで来ただけで、音信不通になった。

あの父親の血が半分でも流れているのかと思うと、自分自身も汚れているようだった。


その頃からだった。


何故私は生きているのだろう…。
なんの為に生きているのだろう…。
生きる目的って何?
どうして私だけがこんな辛い思いをしなければならないの?

マンションの庭に植えられた金木犀の香りにむせ返りながら、夜中一人で涙を流していた。


多分私には…人格的に歪みがあるのだろう…。

今でも金木犀の香りを嗅ぐと思い出す。

本当に私は生きてていい人間なのだろうか?
< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop