あした、晴れ~An enthusiastic kiss~
 約束の時間に間に合うように家を出る。昨日の夜は、課題に熱中しすぎて3時間しか眠れなかった。あくびを噛みしめながら彼女の家に向かう。

(僕も10時だなんて……言わなきゃよかったな。)


 家の前に着くと彼女はすでに外で待っていた。


「おはようございます。昨日今日ってお世話になってすみません。」
「おはよう。どういたしまして。」

彼女を助手席に乗せ車を走らせる。、まだ知り合ったばかりだから仕方のないことだけど、変な緊張感に包まれる車内。

 おとなしいタイプなのか?自分から話題を振ってきそうにない。沈黙を破るために土曜日の話を切り出してみる。

「そういえば、土曜日のお誘いありがとう。」
「いえいえ。予定が入ってなくて良かったです。何かリクエストあります?」
「ううん。優生さんにおまかせで。」
「悩みますね~。考えておきます。」
「楽しみにしておくよ。」
「はい。」
「あ、買い物行く時車出すから遠慮しないでね。」
「ありがとうございます。」

 車を駐車場に停めてキャンパスへ向かって歩き始める。お互いに適度な距離感を保って。こういうところは同じ日本人同士だから楽でいい。少しホッとする自分がいた。

 彼女のクラスがある建物の前で別れ、図書館へと向かう。午後の授業が始まるまで仮眠でも取ろう。


 何かこれという理由はなかった。ただ、今まで自分の周りにいなかったタイプの存在に興味を持って、かかわって見るのも面白いかもしれない。単純にそう思った。



 夕方、ピックのお礼メールが届きそれに簡単な返信をしてやり取りが終わる。肩すかしを食らったような気分になる自分がいた。

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