あした、晴れ~An enthusiastic kiss~
 僕は自惚れていたんだろうか?

積極的にメールが来てゲームがスタートするもんだと思っていたのに、次の日になっても彼女からの連絡はない。

 さびしいような、悔しいような微妙な気分だった。



 別に、それならそれでいいんだけどさ……。心の中で呟いて授業に集中する。


「リツ、ため息なんてついてどうした?」

 隣の席に座っていた一真が小声で話しかけてくる。

「いや、別にため息ついてないし。」

「思いっきりついてたけどな。」

「……。」


 このおせっかいな友人とは、大学で知り合った。深入りされないように作った壁をいとも簡単に壊してきた。最初は距離感の違いにうっとおしさを感じていたけれど、時間が経つにつれ奴特有の人間関係のセンスに魅入られてしまった。周りに言わせると、僕たちは正反対の性格をしているらしい。

 今までの『恋愛ゲーム』を終えた後は、一真に助けられていた。僕の愛情のなさを嘆く女の子たちにそっと寄り添って慰める。そうすることで、彼女達の傷をいやし、新しい相手を探し出せるように背中を押してあげる。

 頼んだ覚えはないけれど、いつの間にかその役目を担ってくれていた。

『これで、俺の株があがるわけだし、なんてことないさ。』

 たしかに、この優しさのせいか?それなりに恋愛は充実してるようだ。


「悩み事があるならお兄さんが聞いてあげるけど?」

「ないし。ていうかいつからお兄さんだよ。」

「俺はずっとやんちゃなリツくんのかじ取りしてきたと思うけどなー。」


ニヤけ顔の一真を見ていると、これ以上会話をする気になれなくて黙りこんだ。

 
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