あした、晴れ~An enthusiastic kiss~
 完璧に準備されたバッグを手に、車でキャンパスへ向かう。少し距離はあるが、車と静かな環境が与えられているのだから、ある意味贅沢な暮らしだ。

「好きなだけ使いなさい。」

と渡されたカードのおかげで、イリーガルにバイトをする必要もない。欲しい物は迷わずに買えるし、勉強のこと以外何も考えなくていい。

 『両親』という肩書を持つ彼らは、僕にGrade A だけを求めている。常に完璧であること。そのための援助は惜しまないが、それ以外のことには全く興味を示さない。
 物心ついたときから、彼らの僕に対する態度はこんな感じだったから、あえて本心やつらさを理解してもらおうとする気持ちにすらなれなかった。


 恋愛に関しても、それなりに見てくれ良く産んでもらったおかげで、不自由はしていない。恋愛と言っても、本気で誰かを好きになったことはないんだけれど…。



 「愛する」とか「好きになる」という気持ちはよくわからないけれど、優しく笑ってうなずいておけば、全てがうまくいく。
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