あした、晴れ～An enthusiastic kiss~

「あの、ミシェルなんですけど。」
「はい？」
「急用ができたらしくて、今日は来れないって。」

知ってるよ……とは言えないか。

「そうなんだ。じゃあ仕方ないね。」
「はい、すみません。」
「優生さんが謝ることじゃないよ。とりあえず、Dr.Bulger対策でもしますか。」
「そうですね、よろしくお願いします。」


　僕は、当時の授業で使っていたノートを見せながら説明をする。押さえておきたいポイントや教授のクセなど覚えていることを話した。彼女は熱心にメモをとり、知りたいことは質問して、僕の言葉を大切に聞いてくれた。
　彼女の姿勢を見ていると、素直でまじめなんだろうと察することができる。


　ここで暮らすようになってから出会った女の子の多くは「大学生」という肩書があるだけで恋活メインのタイプか、お堅いキャリアウーマンを目指す「打倒男！」みたいなタイプだった。オンオフ、白黒全てをはっきりさせたいお国柄の中で、やんわりとした彼女の雰囲気に癒されるような気がした。正直、こんなこと面倒だなと思っていたけれど、そんな気持ちもどこかへ消えていった。


　つい力が入りすぎて、説明が長くなってしまい外は暗くなり始めていた。