触れて伝えて

「ごめん、私ムリだわ残業だからさっ」


「そっか…じゃお先!無理すんなよ」



「あ、うん…ありがと」


ポンと私の肩を叩き、離れて行く彼の指先を目で追った。


その腕をとられ、彼は女の子達と消えて行く。



パタリと閉じたオフィスのドアを見つめ、はぁっと小さなため息を落とし、再びパソコンに向かった。



―――…
――…


「あと少し…」


カチャカチャとキーボードを打つ。



集中していた私は気が付かなかった…オフィスのドアが開いた事に。


すっと撫でられた背中。


「ひゃあっ?!」


「ごめん、驚いた?」


「…え…高木?なんで」


「神谷1人で頑張ってんのかなぁ…って気になってさ」


そう言って照れ臭そうに笑う彼。

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