触れて伝えて

気が付けばオフィスには私と彼だけ。


「これ差し入れ」



ん、と差し出された缶コーヒーを受け取る。


「ありがと…」


触れた指先にまた胸が跳ねた。



いつも自然と触れあう指先に、私の胸はドキンと高鳴るのだ。



「えっ?」



受け取った筈の缶コーヒーが、私の手を滑り落ちゴロンと床に転がった。



彼が私の手を掴んだのだ。



「ちょっ…」


「あのさ…伝わってないかな、俺の気持ち?」


首を傾げた私の頬を撫で彼は言った。


「お前のこと好きなんだけど?お前は?」


じっと見つめられ、私は思わず口を開いた。



「あ…わたしも…好き…です…あっ」


次の瞬間には引き寄せ抱きしめられていた。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop