触れて伝えて
気が付けばオフィスには私と彼だけ。
「これ差し入れ」
ん、と差し出された缶コーヒーを受け取る。
「ありがと…」
触れた指先にまた胸が跳ねた。
いつも自然と触れあう指先に、私の胸はドキンと高鳴るのだ。
「えっ?」
受け取った筈の缶コーヒーが、私の手を滑り落ちゴロンと床に転がった。
彼が私の手を掴んだのだ。
「ちょっ…」
「あのさ…伝わってないかな、俺の気持ち?」
首を傾げた私の頬を撫で彼は言った。
「お前のこと好きなんだけど?お前は?」
じっと見つめられ、私は思わず口を開いた。
「あ…わたしも…好き…です…あっ」
次の瞬間には引き寄せ抱きしめられていた。