恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「それじゃあ」



そう言ってハル君は採点の終わった答案を手渡し、私の間違えた問題を重点的に解答していった。

たまに正解している問題でも、



「こっちは最初にこれを代入したほうが簡単に解けるよ」

「あ、本当だ」



より分かりやすく解答してくれて、私のペースに合わせながら進んでいく。

分からないことをそのままにしない。

理解するまで徹底的に説明してくれる。



「基本が出来ているから理解が早いな」

「そうかな?」

「あぁ、教えがいあるよ。言ったら言った分だけ吸収してくれるから」



柔らかな笑顔を向けて、嬉しそうに答案に花マルを書いていく。

ハル君が花マル書くなんて意外で、か、可愛い〜って頬が勝手に緩んでしまう。

褒められることや意外な一面が見れたことが嬉しくて、私はずっと笑顔でいた。

勉強がこんなに楽しいと感じたのは初めてかもしれない。


そのままの流れで、昨日一人で勉強した時に解き方の分からなかった問題や、考え方が理解できなかった問題もハル君に教えてもらった。

本当に嫌な顔一つせず、次から次へと教えてくれる。

ハル君の教え方はとても上手くて、簡単に頭の中に入っていく。


こうして、二時間の家庭教師の時間は、あっと言う間に過ぎていった。



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