恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
カチャ――。
ドアノブから手を離したハル君は、少しだけ驚いた表情を垣間見せ、またいつもの表情に戻った。
「気に入らなかったなら別の人に変えられるんだけど。……そんなに俺がいい?」
クスッと口角を上げて笑いながら近づいてくる。
「ハル君がいい」
「何で?」
何でかな。
そんなこと私が聞きたい。
だけどこれで終わりだなんて寂しいんだと思う。
「えーっと、ハル君教え方上手いし、たまにいいこと言うし、かっこいいし……って、あれっ?」
「ハハハッ、分かった分かった。ありがとな」
見上げる先には、眩しいぐらいの笑顔で私の頭の上に手を乗せるハル君。
ドキドキと高鳴る鼓動。
変なことを口走ったせいだ。
きっと。
「それなら次からは敬語使いな」
「えっ、今さら?」
「さっき言っただろ。日々の積み重ねって」
「けど……。ハル君があの日私を引っ張り回してからずっとこの喋りだし、私の中でそういう対象から外れたって言うか、今さら使いづらいって言うか……」