恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「何番?」

「ゼッケン赤の9番」



それだけ答えると、後は二人して黙ったまま。

目の前で繰り広げられる試合の光景に目を奪われていた。


たかが練習と言ったって、生で見る試合は迫力があって気迫が伝わってきて、思わず息を呑むほど。

その中でも颯平が一際輝いてみえる。

どんなに長身のプレーヤーも、巧みなドリブルを繰り広げるプレーヤーも、ゴールを決めたプレーヤーも、みんな霞んで見えるぐらい。

私には颯平が一番に見えた。


恋は盲目なんて言うけれど、あながち間違ってない。

だって、普段は特にかっこいいだなんて思ったことないけれど。

今、颯平のことかっこいいって思ったから。


ドリブルをカットされても、ゴールを外しても……。
どんな姿でもかっこよく見えてしまうから。

だけど、何だか颯平のことを遠くに感じてしまって、少しだけ寂しくなってしまった。



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