恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「今日は特別課外授業な」
そう言われてたどりついたのは、私の家とは反対方向にある駅の裏の公園だった。
公園と言っても遊具は鉄棒だけで、他にあるのは砂場と木製のベンチだけ。
子どもには人気のない場所で、私とハル君以外誰もいなかった。
そのベンチに私は腰をかけ、ハル君は立ったまま。
「特別課外授業ってどういうこと?」
ハル君を見上げると、木製のベンチはその振動で小さく軋んだ。
その音が恥ずかしくて、慌てて缶のプルトップに手をかけて勢い良く飲む。
「ハハッ。もう飲み終わった?」
「あれっ? うん、飲んじゃったみたい」
「じゃあ貸して」
私の手中からスルリと缶を抜き取ると、小走りで公衆トイレのほうへと向かっていった。
一体何だろう?
ハル君の言動は、
やっぱり予測不能。
だけどそれが、何だか自分にとって悪いことになる気がしなくて、私はハル君の為すがままに従ってしまう。
トイレから出てきたハル君は、二つの缶を砂場の淵に置くと手招きをしてきた。
で、やっぱり引き寄せられるように私は砂場へと向かっていったんだ。