恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

笑顔は一瞬にして凍り付いた。

信じられない言葉に、ハル君の顔を見上げる目が点になる。

それを見て、クスクスと笑うハル君。



「確かにあの時はショックで、紗夜香みたいに落ち込んだりもしたけどな。今は、落ちてよかったって思ってるんだ」

「何でっ!?」



意味分かんない。

今までのハル君の言葉の中で、一番理解に苦しむ。

そんな私の心情を察したのか、ハル君は目を細めて微笑みながら口を開いた。



「その悔しさをバネに今があるからかな」

「だから、どういうこと?」

「さっきも言っただろ? これから先、大学受験や就職試験があるって。まだ終わりじゃないんだよ。あ、こういう事言われているの知ってる?
“挫折は若いうちに味わっていたほうが、人は逆境を乗り越えられるんだ”と」

「どういうこと?」

「若い時のほうがチャンスはまだまだ残されていて、さらに挫折を乗り越えるだけの柔軟性を持ち合わせているんだと思うんだ……俺はね。
ただ乗り越えるかは自分次第。つまり、自分次第でその先は大きく変わっていくということなんだけど」 



グルグルと思考が回り続ける。

ハル君も公立に落ちて。でも、今は有名な大学に通ってて。

公立に落ちて悔しかったから、頑張って大学に受かった?



「そう言えば」



そう言うと、ハル君は砂場のほうを指差した。



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