恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
柔らかな笑顔を見せるハル君。
それでも動きださない私の頭をガシッと掴み、
「その後いくらでも話聞くから」
髪の毛をクシャクシャっとして、少し屈んで微笑んだ。
まるで小さい子どもをあやすような感じ。
だけどそれが心地良くて、ぐちゃぐちゃだった思考も逃げだしたいという衝動も、空気が抜けるように静かに消えていく。
本当にハルくんには適わない。
こういうところが、好き。
何で私のことで、そんなにも真剣になってくれるんだろう。
子ども扱いしても、肝心な時には対等に向き合ってくれる。
それが私にとっては新鮮で、それにどれだけ救われたかなんて、きっとハル君は気付いていない。
見返りも何も求めない言動だと思うから。
だから、私も受け入れられる。
私の為の言葉だから、素直に受け入れられるんだ。
「先生……」
「ん」
「私、行ってくる!!」
逃げずに颯平と向き合おう。
どんなに傷つけても、傷ついたとしても、逃げればお互いにわだかまりをもったまま終わりなんだから。
颯平のこと好きだから、ちゃんと話さないと。