恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
……。
頭が真っ白――。
何も考えられない。
私、何でベンチに座っているんだっけ?
だるい体をベンチに預け、手足をブラーッと力なく振り下ろす。
あー……、
何だか、疲れた。
眩しい日差しが拍車をかけて、細めていた目が次第に閉じていく。
「ひゃっ!!」
頬にひんやりと冷たい感触に驚いて目を見開き、私はゆっくりと視線を向けた。
あっ。
目の前にペットボトルを差し出され、頭を軽く下げてそれを受け取る。
「大丈夫?」
「……はい」
キャップを回して外し、ゴクゴクと飲んで喉を潤していく。
私、喉こんなにカラッカラだったんだ。
冷たい水が体の中にスーッと入っていって、凄く気持ちよくて気分も落ちついていく。
すると急にいろいろと思い出してきて、
「……じゃなかったんですね」
「は?」
ベンチの前でポケットに両手を入れて私を見下ろすその彼に向かって言葉を放った。
「バンジージャンプ。するんじゃなかったんですね」
そう言うと一瞬、彼は瞬きを忘れたかのように固まり、そして口元を緩めた。