恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
その時はそれで終わったらしい。
なぜならマネージャーがその場から走り去ったから。
颯平は慌ててマネージャーを追い掛けて、そして駅前で捕まえて言った。
どうして逃げるのか、どうしてちゃんと話をしないのか、と。
その言葉を聞いた瞬間、自分のこととダブった。
私がハル君に言われた言葉……。
それを颯平は別の人に言っていたんだ。
胸が針で刺されたようにチクチク痛む。
この痛みの正体が何なのか、今の私にはよく分からない。
ただ痛みで胸が疼いて苦しくて、体中の全神経がそこに集中していた。
そうして二人は話をしながらホームへと向かった。
元カレのあまりに強い思いが怖くて仕方がないんだとマネージャーは言う。
颯平は元カレのことがそこまで憎めなくて、もう一度ちゃんと話をしたほうがいいと促したけれど、マネージャーは小刻みに体を震わせて首を横に振った。
颯平なりに考えたのだろう。
このままだとマネージャーも元カレも前に進めないって。
「何かあれば俺が助けるから」
それが優しい颯平が出した答えだった。