恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「あれっ? あんた何で赤くなってんの?」
彼は分かっているのか、いないのか。
視線だけこちらに向け、飄々とした態度で言ってきた。
それに引き替え私は、間接キスって意識すればするほど頬が熱くなっていく気がする。
「赤くなんかなっていません!!」
「あっそ」
聞いてきたくせに特に関心がないのか、それ以上問い詰めることもなく遠くを眺める彼。
自分より年上に見えるからか、言い返すことはできても自分から突っ掛かることができない。
彼がそれ以上何も話さないから、その場に立ったまま。
無常にも時間だけが刻々と過ぎていった。
だけど、いつまでもこの状態を続けるわけにもいかなくて、その場を立ち去ろうとようやく声をかけようとした時、
「……何があった?」
今までにない穏やかな声で彼から問いかけられて拍子抜け。
「ブッ!! あんた何て顔してんだよ」
「えっ!? ……あっ」
だって、そんなこと聞かれるなんて思ってもいなかったから。
彼の言動は予測不能。
それに、今、笑った顔がすごく可愛くて……。
さっきまで見せていた笑顔は作りもので、今、目尻にシワを寄せて見せている笑顔が本物なんだって、何だかそんな風に感じた。
そんな笑顔に
胸の鼓動が早くなる――……。