恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
やってしまえば、大したことないのかな?
とか、そんな風に思える余裕さえないほど、恥ずかしさと恐怖に耐えられない。
やっぱり、私と颯平がって想像できない。
頭を抱えて俯き、顔を隠す。
思考も表情も読み取られたくなくて、無駄だって分かっているにも係わらずそんなことをしていた。
「何でみんなできるんだろう」
答えを知らない、答えの分からないその行為は、今まで生きてきた中で何よりも難解。
例え授業で習ったとしても、実際にしてみないと分からないし。
「可愛いなー、紗夜香は」
「何が?」
「そういうとこが」
ふと、ハル君を思い出した。
同じようなこと言われたなって。
「本当に好きな人とだったらね、きっと恥ずかしさとか全部吹っ飛んで満たされるんだと思うよ」
ようやく重い頭を上げて、渇ききった喉をアイスティーで潤す。
勢い良く飲み過ぎたのか、ズズズと間抜けな音を出してしまう。
「心も、体もね」
だけど真剣な面持ちを崩すことなく、私は香里奈の言葉に耳を傾けていた。