恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「そっかー。それなりにうまくやっていってるんだねー」
微笑む優美を見て、キリキリと胸が痛む。
ハル君と再会したことも、そのことで颯平を傷つけていることも。
言うタイミングを逃してしまったら、今更言いづらくて言えない状況に陥ってしまった。
一度言った言葉を、訂正することができない。
「そう言う優美は? 何か変わったことは?」
そんな自分を情けなく思いながら話を逸らす。
「私? んー、彼氏は欲しいんだけど、ピンとくる人がいないんだよねー」
「そっか……」
「あっ!! 紗夜香の周りに誰かいい人いない?」
頭の中に浮かんだのは、ハル君。
ダメだ。
ハル君の存在が私の中から消えない。
「うーん、微妙……」
寧ろ時が経つにつれて、私の中で大きくなっている。
消したい、忘れたい。
これ以上……颯平を傷つけたくない。
「そっかー。じゃあ、颯平にでも聞いてみようかな」
優美の呟きに、私は立ち止まってしまった。
首を傾げて覗き込まれてハッとして、笑いを漏らして何事もなかったかのように歩きだす。
「ねぇー、紗夜香。やっぱ颯平と何かあったんじゃない?」
「本当に何もないよ」
嘘が嘘を重ねていく。