恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
まくしたてていたマネージャーが言葉を失う。
それほどまでに、今までに聞いたことがない、低くてドスのある声が聞こえてきたから。
「やめろって言ってるだろ!!」
今までただの傍観者だった当事者の颯平。
その存在を置き去りに話をしていた私たちを一蹴した。
緊迫した空気に、為す術もなく黙り込む。
かける言葉が見つからない。
罪悪感が重くのしかかる。
「あー、悪ぃ」
そんな空気を変えたのも颯平で、自分の身勝手さに今すぐここから立ち去りたくなった。
逃げたらダメだと分かっていても、どうしようもない。
「紗夜香……」
名前を呼ばれて、恐る恐る顔を上げる。
そこで颯平が見せたのは、昨日キスを拒んだ私に見せた、あの悲痛な表情だった。
「知ってる。俺、何となく分かってたから」
「えっ?」
何を言っているのか、一瞬理解できなかった。
目を逸らすことなく私を見据える颯平を、ただ眺めることしかできない。
「紗夜香って、俺に負けないぐらい顔と態度に出やすいから。……知ってたよ、その相手も、それで悩んでいることも」