恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「聞いてほしい?」
「……ううん」
「なら、聞かない。聞いて欲しければ話聞くし、聞いて欲しくないなら無理に聞かないよ」
程よく電車到着のアナウンスが流れ、勢い良く炭酸を流し込む。
ゴミ箱に缶を捨て、到着した電車に乗り込んだ。
空いている席に座り、スクールバッグを膝の上に置くと、視線に気付いて顔を向ける。
「この前はさ、紗夜香があまりにもウジウジして、それにムカついたから聞いたけど」
腕組みをした香里奈は、相変わらず笑って話しを続ける。
「何かちょっと、紗夜香……変わったなって思う」
「変わった? 私が?」
「そうそう。どこか迷いがなくなった。ついこの間までフラフラしてるなぁって思ってたのにさ」
何だかよく分からなくて、頭を捻りながら話を聞いていた。
すると「あっ……」と言って、香里奈は耳打ちをしてきた。
「もしかして、やった?」
……やった?
って。
「やってないしっ!!」
恥ずかしさのあまり、電車の中ということも忘れて大声で叫んだ。
「あっ……」
すぐ様我に返る。
痛い視線を感じて辺りを横目で確認し、誰にも見られないように顔を伏せる。
微かに視界に入る香里奈は、肩を鳴らして笑っていた。