恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

それからも、

「やったんでしょ」

「やってないってば」

の繰り返しで、さっきの話はうやむやになってしまった。



変わったって。

もし香里奈がそう感じたのなら、それはきっと。



「あっ、私ここで降りるね」

「えっ? 今日もバイトなの?」



バイトの時に降りる駅が近づいて、私はその場に立ち上がる。

テスト前なのにって驚く香里奈に向かって、



「ううん。この前休んだから、お詫びだけでも言いにいこうかと思って」



そう言うと目を丸くされた。

律儀で真面目だねって。

どこかで聞いたことのある言葉を耳にする。

微笑して、電車を降りる。


一人になった私は、また笑みを零していた。



「律儀で真面目、か……」



ハル君にも言われたなー。

って、ことあるごとにハル君を思い出す自分に、更に笑いが込み上げる。


いつからなのかな。

ハル君の言葉が、私の中でこんなにも大きくなったのは。

もらった一つ一つの言葉たちが、確実に胸に刻まれていて。

その時は理解できなかったことでも、時間の流れと共に理解して浸透していく。


変わったって、そう思われるようになったのはきっと……。

ハル君が与えてくれた言葉の影響、だよね。



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