恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
一人そんなことを考えながら歩いていると、駅から歩いて数分のところに位置する私がバイトをしているファミレスが見えてきた。
裏口からお店に入りスタッフルームへ向かう。
そこには夜のピークを前に、パソコン画面を覗き込んで仕事をしている店長がいた。
「あのー」
シフトが入っていない時にここに来るのは初めてで、少し緊張しながら声をかける。
椅子を回転させて振り返った店長は、予想もしていなかった私の出現に、
「あれ? 穂積さん今日シフトだっけ?」
「いいえ、今日は休みなんですけど」
「って言うか、体調は良くなった? 大丈夫?」
驚きつつも体調を気遣ってくれて、私は思いっきり頭を下げる。
「すみませんでした!! この前は突然バイトを休んでしまって」
「……え? もしかして、それだけ言いに来た、とか?」
ゆっくり頭を上げて「はい」と返事をする。
すると、一瞬の間があって、
「今時、珍しいぐらい真面目だねー」
と、店長にまで笑われてしまった。
今日は笑われてばかりだ、と思いながら店長を眺めて苦笑する。
「穂積さん、今時間ある?」
「はい、少しならありますけど」
「じゃ、ちょっと待ってて」
パソコンの画面を閉じた店長は、そう言い残してスタッフルームを出て行った。