恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

それとほぼ入れ替わりに、「お疲れ様でーす」と元気な声が聞こえたかと思うと、



「あれ? 穂積さんおつかれー。今日、シフトじゃないよね?」



バイトの先輩の木原さんが入ってきた。


木原さんは私の五つ上の大学生で、同じキッチンスタッフ。

大学の講義が終わってからシフトに入るから、私とシフトが被ることが多くて。

初めに仕事を教えてくれたのも、この木原さんだった。



「で、どうしたの今日は?」

「あ、この前突然休んで迷惑かけたので、お詫びに来たんです」



……と話していると、木原さんはそれはもう、分かりやすいぐらい顔色を変えて口を開いた。

けれど、笑い声で何を言っているのかよく分からない。



「あの?」



何で笑われているのか。

また、真面目だなんて言われるのだろうか。

と、その予想は見事的中して、またまた私は苦笑する外なかった。



「木原ーっ。声、店内まで漏れるぞ? 少しはボリューム下げろ」

「あっ、すみません」



そこに戻ってきた店長は、トレーにカップ二つとケーキの乗ったお皿を持ってきていた。



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