恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「穂積さんが入ってからも、辞めた子二人いたでしょ?」
「そう言えば、シフト表に名前がなくなった人いますね」
「あれね、無断欠勤で突然連絡がつかなくなった子と、連絡はくれるけどシフト時間ギリギリにドタキャンの常習犯だった子」
「そうなんですか……」
壁に貼られたシフト表に目をやって、今は消えた名前を思い出す。
「バイトって言ったって対価をもらっている以上、社員と同じようにそれなりの責任はついてくる。一人の無責任な行動で、周りが迷惑するって考えて欲しいんだよな……」
「あの、私っ!!」
頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受ける。
私、そこまで考えていなかった。
「この前は本当にすみませんでした」
私が休んだことで、誰かに迷惑をかけることを。
それも私の身勝手な理由で。
自分のことしか頭になかったことが、何だか無性に情けなくなって胸が苦しくなる。
「あーごめんごめん。穂積さんのことを言ったわけじゃないから」
店長は笑いながらそう言ってくれたけど、嘘をついて休んだから。
だから、改めて罪悪感が募っていってしまう。
見えていなかった。
……多分、こういうことって自分の知らないところで、起こっているんだろう。