恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「年なんて別に関係ないんじゃない?」



それは、本当にごく自然なことのように聞こえてきた。

たった一つの言葉が下がっていた気持ちを浮上させてくれる。


どうして……。

どうしてハル君は、こうも私の欲しい言葉をくれるのだろう。



「いや、でもさー。中学生と大学生だよ? ありえなくね?」

「じゃあ何だったら良いわけ? 高校生だったらよかったわけ?」

「あーっ、高校生ならアリ!! ってか高校生って思ったんだけどなー。紗夜香ちゃんって大人っぽいよねー。今なら全然アリだし、うん」



急に話を振られて見つめられるも、背筋が凍りそうになりながらそっと視線を移す。



「あのー」

「ん?」



どうしてこの人はいつもこんな調子なんだろう。

頭の中は疑問でいっぱい。



「私が言うのもどうかと思いますが……。
望さんのこと、もっと大事にしてあげて下さい」



こんなに綺麗で素敵な彼女がいるのに。

ハル君が、今も忘れられない人なのに。


亘さんもゆっくりと私の視線をたどって隣を見て、そして、分かりやすいぐらい急速に青ざめた。



「わわっ!! 望ごめんって。冗談だから冗談」

「ふーん」



冷めた目で見られ、すぐに視線を逸らされている。



「自業自得」



ハル君も冷たく言い放ってご飯を口に運ぶ。

そんな状態になって、さすがに私もオロオロしていると、



「気にしなくていいから」



亘さんに気づかれないように、隣でハル君が呟いてきた。

よく聞けばその声には笑いまで含まれていて、ふと望さんを見てみれば笑いを堪えてそっぽを向いていて。

ただ、亘さんだけが青ざめて固まっていた。


そんな状況に、私まで笑いそうになってしまった。



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