恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
望さんの言うように、気にしていたのは私だけだったみたい。
大学と言うのは、学部によって違うらしいけど、まずは自分が進むべきコースを決める。
それから、それぞれの項目から必要最低限な単位を取りつつ、四年間で卒業単位数を取得できればいいと。
いろいろと大学の講義の仕組みを教えてもらった。
だけど、よく分からないことだらけ。
それでも……
カリキュラム……時間割を、自分で決めるという事が魅力的であると感じる反面。
もし大学に通うことになった時に、私はしっかり決められるのかと不安になった。
そんな話をしながら教室内を一周して、そして、黒板を挟んで入ってきた扉とは反対側の扉から出て行く。
と、二人の姿が見当たらない。
「あ〜っ、またあそこだね、きっと」
望さんの後ろをついていく。
通路の角を曲がった辺りで、二人の姿が目に入る。
「煙草……吸うんだ」
ガラス張りの壁の向こう側。
外に置いてある灰皿の横に、二人がいた。
煙草を咥えて煙を吐き出して、亘さんと楽しそうに喋っている、私の知らないハル君。
意外すぎてこれ以上言葉にならない。
胸がまた、苦しくなってきた。
「やっぱ、紗夜香ちゃんってハルのこと、好きなの?」