恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
私は何を言うつもりなのだろう。
「何でハル君と別れたんですか?」とか。
そんなこと聞いてもどうしようもないのに。
「紗夜香ちゃんには亘が本当に悪いことしたと思ってる。だから謝りたかった、ってそれもあったんだけどね」
何も言い出さない私の変わりに、望さんが口を開いた。
「何だかピンッときたんだよね〜。この子ハルのこと好きなんじゃないかって!! そしたら余計にもう一度会ってみたくなっちゃったんだ。本気なら応援するよ!」
グサリと胸に突き刺さる。
目頭が熱くなってきて、涙腺も緩んできた。
ハル君が好きなのは、今も想っているのは望さんなのに。
「どうして……」
「ん?」
「……どうしてハル君と別れて、また亘さんを選んだんですか?」
つい、言葉にしてしまった。
ハッとして慌てて口を塞ぐけど、そんなものに意味はない。
この場から逃げ出しい衝動に駆られ、席を立とうと足に力を入れた時、
「ハルってば、そんなことまで教えてるんだ。そっかー」
ため息まじりに声を出した望さんを前に、なぜかその場から動けなくなってしまった。
頬杖ついてガラスの壁の外に視線を向けて、そんな望さんから目が離せない。