恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「亘ね、普段はあんな奴だけど、本当は凄く寂しがり屋で繊細で。あー見えて優しいの」
私が今まで目にした亘さんからは想像できなくて。
多分表情にも出ていたのだろう。
望さんはクスリと笑い、分かるわけないよねー、と同意を求めてきた。
苦笑して顔をかく。
「亘んちの家庭の事情が複雑でね……。一連の言動はそこからくる反動だったりするんだけど」
「だからと言って」
「そうなの。本当にその通りなんだけど、どこか憎めなくてさ。いい奴ってのが分かってるから」
気付けば身を乗り出して、望さんと話をしていた。
確かに、ハル君が今も友達なのは、亘さんに何かの魅力があってのことだろう。
私には分からないけど、
「だから、私もハルも今でも付き合ってるわけだし」
それは表面上でしか亘さんを知らないから。
「だけど、やっぱり我慢できなくて、亘と別れてハルと付き合ったこともあったけど……その後、聞いた?」
問い掛けられて首を横に振る。
ここだけの秘密ね、と前置きした望さんは、遠い目をして昔を思い出しながら話しはじめた。
「別れを切り出したのは、ハルからだったの」
「えっ!?」