恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「ハルに言われたの。望のことは好きだけど、亘のことも好きだって。そして、亘の隣で笑顔を見せる望が好きだって。
だから、別れようって」
相手の幸せを願って自ら手放したハル君。
それが正しいかどうかなんて分からないけど、今、こうして三人が笑顔で一緒にいるから。だから……。
「それから数日後にね、ハルと亘が殴り合いの喧嘩をしたの」
何て言うか、衝撃的なことの連続だった。
私の知らない過去。
私の知らないハル君。
「何か……あの二人が喧嘩って、想像できないですね」
「でしょ? 私もかなり驚いたもん。先に手を出したのは亘らしいけど、駆け付けた時には二人ともボロボロで」
「それでどうなったんですか?」
「笑ってた」
「え?」
いつの間にか望さんの話に没頭していて、周りの音さえ聞こえなくなっていた。
人を惹きこむ雰囲気って言うのかな。
何だかそれが居心地よくて。
ハル君が好きな人が望さんでよかったって、そんなことまで思う自分がいる。
「二人で笑ってたんだよ、血を流しながら。そしてね……私を視界に入れたハルが、亘の背中を押して」
フッと笑みを零した。
「先生も生徒もたくさん周りにいる中で、亘が……告白、してきたんだ」