恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
ハル君が去っていったのは、みんなとの待ち合わせ時間の少し前。
鉢合わせしないように断りの連絡ができるように、私も急いで遊園地を後にした。
その帰り道、私はハル君が言っていた矛盾について考えていた。
言っていることが矛盾。
例えば、普段自分の発言を深く考えたことなんてあっただろうか。
その時思ったままの感情が口から出ている。
そんな自然なことが多くて、何気なく言った言葉なんてしっかりと覚えているはずもない。
答えは出ないまま誰もいない家に着いて、それでも頭の中には自分の言った様々な単語がランダムに流れていた。
……勉強より難しいかも。
それを言えば、ハル君の最後の言葉。
“生きること自体に意味がある”
「意味分かんないし」
ハル君の言葉は何だか胸にずっしりときて、鮮明に頭の中に残っている。
たった一度きり。
僅かな時間を過ごしただけなのに、名前も顔もすっかり覚えてしまっていた。
「ハル君、か……」
私の心に今も留まる彼。