恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
頬を撫でるように風が流れ、西日は眩しいぐらいにさしてきて、思わず目を細めてしまう。
あれだけ賑わっていた園内も、気付けば人がまばらになっていた。
「もうすぐ閉園かー」
「ねぇハル君、観覧車乗ろうよ」
ジェットコースターさえ見下ろせる大きな観覧車。
先に駆けて行った搭乗口は、閉園間近で人が少なくなっていた。
もっと一緒にいたい。
まだ伝えていないことがある、よね。
言いようのない寂しさを隠すように、向かい合わせに座ったハル君から目を逸らし、外の景色を眺める。
あの日、ハル君と出会って私は変わった。
生きる意味。
将来の夢。
そして……、
人を好きになるということ。
「今日で最後かー」
静かに流れていた時に、ハル君の言葉が響き渡る。
チクンッと痛んだ胸。
改めて言葉にされて、気付きたくない現実を目の当たりにさせられる。
「そうだね……」
「ん? 俺と会えなくなるのがそんなに寂しい?」
冗談混じりに笑うハル君の顔を見据える。
ごまかせない気持ち。
頭で考えるより先に、
「うん、寂しい」
言葉が出ていた。