恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
ふと、視線を感じた。
ハルくんを正面に見据えると、視線を逸らすことなく私の顔を見つめていて、視線が合うと頬を緩めた。
「……俺も、紗夜香と会えなくなるのは寂しいよ」
そんな言葉に胸が高鳴ったのは、観覧車が頂上付近に差し掛かった時。
冗談まじりじゃない声色に、驚きを隠せなかった。
何の準備もしていなかった胸が、苦しいぐらい締め付けられる。
不意打ちはダメだよ。
目が合っただけで、心臓が壊れそうになる。
「こんなに気になる生徒も初めてだったなぁって。危なっかしくて目が離せなくて、それでいて一生懸命悩んでもがいて。
……ちょっと、昔の自分と似ているかなって」
鼻でフッと笑いながら私を見つめる。
その時、私は思い出した。
望さんが教えてくれた、あの言葉を。
「ねぇ、ハル君……」
「どうした?」
「私の為に大学呼んでくれたって、本当なの?」
ゴクリと喉を鳴らし、ハル君の返答を待つ。
もし……望さんの言っていたことが本当だとしたら、ハル君は望さんに頼まれたからじゃなくて。
私の為に、
悩んでいた私の為に……
ハル君は。
「……望か。ったく、あいつは」