恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

少し照れ臭そうに頭をかいて、ちょっと顔を赤らめたハル君は、



「少しでも紗夜香の役にたてばって思ったんだけど。
余計なお節介かもしれないよな……とか思って、望の名前借りたりしてさ」



大学に呼んでくれた本当の真相を教えてくれた。

望さんは私が大学に来ると知り、それなら亘さんにも改めて謝らせたいと、同行することを頼んできた。

ハル君の言動は、望さんの為じゃなかった。

私の為に、私のことを思って。


嬉しさから胸がギュッと掴まれるように苦しくなる。


しっかりしていて大人なのに、たまに不器用で子どもっぽいところもあって。

だけど、いつも私の目線に合わせてくれる。



「ハル君、ありがと」



何度言っても伝えきれないこの気持ち。

ハル君に出会わなければ、今の私はなかった。


例え報われない想いでも、出会わなければよかった……なんて思えない。

思えないよ。



「ハル君、私ね……将来の夢見つけたよ」



だから、最後になるかもしれないけれど伝えたい。

きっかけは些細なことだった。

だけど、そこから先は過ごした日々が積み重ねてきたもの。



「えっ、マジで?」

「うん! ハル君のおかげ。本当にありがと」

「そっかー。
よかったな、紗夜香」



地上に近づくゴンドラの中。

ハル君はまるで自分のことのように、私の手をとって笑みを零した。


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