恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「おかえりなさーい!!」



ガチャッンと金属音が響いて扉が開くと、目を丸くした人が視界に映った。



「あっ!! あのー、もう一周乗りますか?」

「……えっ?」



バツが悪そうに言われ、多分ハル君と二人ほぼ同時に頭を下げて、



「おっ、降ります! すみません!!」



私は慌ててゴンドラからとび降りた。

金属の擦れるような音をたてながら、ゴンドラは激しく揺れている。


それを背に、ハル君の姿さえ捉えず階段を掛け降りながら、握り締められた手にそっと触れる。

ハル君の温もりを思い出し、嬉しいような恥ずかしいような複雑な心境で……。



「ごめんな、嬉しくてつい」



追い着いたハル君は、頭をかきながら悪戯っぽく笑った。



「ううん、私も嬉しかったし」



ハル君と肩を並べて歩く道。

近づくエントランスは、別れへのカウントダウンに感じられて。

今まで悩んでいたのが嘘のように、素直な気持ちが言葉に出ていた。


ハル君からたくさんのモノをもらった私から、
最後に伝えたい。

不思議とそんな気持ちに駆られていたんだ。



「私ね……」



< 354 / 359 >

この作品をシェア

pagetop