恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「おかえりなさーい!!」
ガチャッンと金属音が響いて扉が開くと、目を丸くした人が視界に映った。
「あっ!! あのー、もう一周乗りますか?」
「……えっ?」
バツが悪そうに言われ、多分ハル君と二人ほぼ同時に頭を下げて、
「おっ、降ります! すみません!!」
私は慌ててゴンドラからとび降りた。
金属の擦れるような音をたてながら、ゴンドラは激しく揺れている。
それを背に、ハル君の姿さえ捉えず階段を掛け降りながら、握り締められた手にそっと触れる。
ハル君の温もりを思い出し、嬉しいような恥ずかしいような複雑な心境で……。
「ごめんな、嬉しくてつい」
追い着いたハル君は、頭をかきながら悪戯っぽく笑った。
「ううん、私も嬉しかったし」
ハル君と肩を並べて歩く道。
近づくエントランスは、別れへのカウントダウンに感じられて。
今まで悩んでいたのが嘘のように、素直な気持ちが言葉に出ていた。
ハル君からたくさんのモノをもらった私から、
最後に伝えたい。
不思議とそんな気持ちに駆られていたんだ。
「私ね……」