恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
少し勢いをつけたブランコから颯平が飛び降り、私と砂場の直線上に立った。
横では人を乗せていないブランコが、今も一定のリズムで音を立てながら揺れている。
私も地に足をつけてブランコの揺れを止め、そして颯平の顔を見上げる。
「俺ら高校別になったけど、続くよな?」
あぁ、そっか。
公立も私立も同じところを受験していた私たち。
「受かったんだね、おめでと」
「あっ、おぅ」
何だか気まずそうに言葉が詰まる颯平。
何て言ったらいいのか分からないと言った感じ。
私は目を閉じて一息つき、そして、ゆっくりと目蓋を開いて颯平の目を見つめる。
「私は大丈夫だよ」
そんなことを言えるのも、ハル君と過ごした時間があったから。
ここでまたハル君のことを思い出す自分に笑いさえ出てくるけれど。
面食らった顔をしている颯平もおかしいし。
「フフッ」
「何笑ってんだよ?」
「んーん、何でもない」
改めて自分がそんなに落ち込んでいないことに気付いた。
「元気ならよかった」
そう言った颯平の顔が近づいてくる。
微かに触れる唇。
顔を離して笑顔を見せる彼の頭を私は小突いた。
「バカッ! 子どもが見ているかもしれないでしょ!」