恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
不器用だけど。
颯平なりに私のことを心配して来てくれたんだと思う。
そういうところが好きだったりするんだけどね。
高校が別々になって、不安もあったのかもしれない。
今までずっと一緒に過ごしてきたけれど、これからは別々の道に進むんだ。
「ねぇ、颯平」
首を傾げながら私を見つめるその姿に、少し胸を高鳴らせてフッと息を吐く。
「……やっぱ何でもない」
「何だよ? 気になるし」
寂しいとか不安だとか。
何だかいろんな感情が渦巻いているけれど、それを口に出してしまえば溢れてしまいそうだから。
言葉を呑み込む。
「高校始まるまでいっぱい遊ぼうね」
「もちろん。どこに行こうか?」
「そうだなー」
できれば同じ高校がよかった。
初めて離れてしまう不安は拭いきれないけれど、やっぱり一緒にいるとこの人が好きなんだって思える。
繋いだ手がずっと離れなければいいのに。
ずっと温もりを感じられたらいいのに。
……ナンパ男についていきそうになってごめんね。
心の中で呟いて颯平に謝った。