恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
ここが電車の中じゃなければ、大声で叫んでいたに違いない。
絶句、唖然、呆然。
どの言葉も当てはまるほど、香里奈の言葉に衝撃を受ける。
首席入学の香里奈の言葉だから、わざと落ちたってことも信憑性が高いけど。
「香里奈ってどこ受けたの?」
「私? N高だよ。公立って制服ダサいしさ。それに比べて瑞沢学園は、レベルも高ければ制服も可愛いでしょ」
ネクタイを指でクルクルッと回しながら、得意げな顔を見せる。
N高って私が落ちたところだ。
あんなに落胆していた私が馬鹿にされたような気になって、少し腹が立ってくる。
だけど、友達になってまだ一週間足らずの香里奈に、反論することもできずに口籠る自分が少し情けない。
「それにさ、私が落ちれば確実に一人は受かるってことでしょ。行きたくないと思っている人が行くよりは、そっちのほうがいいじゃん」
確かに。
なんて納得してしまった。
私が行きたくてたまらなかった高校に、仕方なく通っている人を見ると絶対気分が悪くなると思う。
それにしても、悪びれた様子もなくあまりにも堂々と言うものだから、
「ハハッ。本当に信じられない」
怒りを通り越して笑いさえ出てきた。