恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
「じゃあ、進路希望調査表悩むね?」
「うーん、無難に地元の国立大書いておこうかと思うんだけどね」
早くも配られた進路希望調査表。
さすが進学に力を入れているクラスなだけある。
簡単な意識調査と内田先生は言っていたけれど、一体クラスのどれくらいの人が進路が決まっていて記入するんだろう。
私はと言えば、はっきり言って進路だなんてまだ不透明。
何だか取り残されて急かされているようで、憂欝な気持ちになってくる。
「私は悩むよ!! 東大、慶応、早稲田……とにかく、どの大学が一番いい男がいるかリサーチしないとね」
私だけじゃなく周りの視線も香里奈に集中するのを感じる。
腕を組んで本気で悩ましげにしている姿。
見た目に加えてあの発言。
いとも簡単にサラリと言った単語に、呆気にとられてしまう。
車内には次の駅到着のアナウンスが流れ、電車はどんどん減速していく。
この辺りで一番賑わっている駅の到着を前に、まばらに人が席を立ち、ドアの前に集まってくる。
人が通れるように少し体を避けていると、普段降りないはずの駅なのに香里奈がスクールバッグを持った。
「えっ? 降りるの?」