恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜

「夢!?」

「うん。将来の夢」



家に帰った私は優美に電話をして、自宅近くのファストフード店で落ち合った。


お互いにハンバーガーを一つ注文して水をつけてもらい、窓際の禁煙席を陣取る。

働いていない学生の財布の中身じゃ、これが精一杯。

セット注文なんてもってのほか。



「紗夜香、どうしたの突然!?」

「……ん、あぁ。学校で進路希望調査があってね」



新しい高校での生活や友達。

進路希望調査や夢。

高校に入学して一週間だと言うのに話すことはたくさんあって、止まることなく私は話し続けていた。

優美は頷きながら真剣に話を聞いてくれて、ようやく話が一段落すると、



「香里奈って子、凄いね」



それが第一声だった。

私もそう思う。


二人でハンバーガーを口に頬張り、苦笑して黙々と食べ始める。

育ち盛りのお腹にハンバーガー一つは少し物足りないけど、とりあえず少しだけ空腹を満たす。

ハンバーガーを食べ終えて水を飲んでいると、優美がチラッと視線を向けてきた。

何かと思い声をかけようとしたら、言いづらそうに口を開いた。



「……私もね、夢あるよ」



< 53 / 359 >

この作品をシェア

pagetop