恋いトビ。〜Teacher,teach me ?〜
これは夢じゃないのかな?
もしかしたらそうかもしれない。
ハル君に会いたくてたまらなかった私が勝手に見ている夢なんだ。
いつも過ごしている私の部屋にハル君と二人きりなんて状況、夢って思わなければ信じられない。
「痛いし……」
軽くつねったホッペに痛みが走って、思わず言葉を漏らす。
「ブッ。何やってんだよ」
「えっ!? あ、ハ、ハル君?」
つい口走った名前に、慌てて両手で口元を押さえた。
これでもし、あの日のハル君じゃなければどうしよう。
突然名前を呼ぶなんて、変な人って思われても仕方ないじゃん。
依然真上から見下ろしながら笑顔を見せるハル君(多分)は、一歩私へと歩み寄ってきた。
「しっかし、あの時中学生だったとはな。それならあの反応も分からなくもないか。
……高校の制服可愛いし、似合ってんじゃん?」
伸びてきた手がネクタイを掴み取る。
体も避けきれないぐらい近づいてきたハル君は片手を壁につけて、私は逃げ場を失って頭はプチパニック状態。
心臓が壊れそう。
恥ずかしくてたまらない。
見下ろす視線と見上げる視線が重なって、私はいつの間にかハル君から視線を外せなくなっていた。