沃の心箱
【恋】50cm
『50cm/by.沃』
鋭い棘が 突き刺さり
ナイフが体を走り巡り
全身が悲しげに 赤く染まる
―‐寒いね
隣にいる君が かすかに呟いた
どうして
こんなに寒いんだろう
どうして
こんなに凍えるんだろう
君との距離
こんなにも
近くて 遠い
それ以上お互い
何も言わぬまま
何も聞かぬまま
気付けば二人の間には
50cmの 氷の壁
―‐春になれば溶けるかな
僕はそっと 呟いた