ツンデレ王子とアリス
怖い、助けて…!
助けを呼ぼうとしても、うまく声がでない。
「じゃ、俺らといこ♪」
男の一人が有里朱の肩を抱き、歩き始めた。
嫌だ…怖い…助けて!
瞬間、
「何やってんの?」
一人の男が倒れた。いや、正確に言えば、有里朱達の前方のブロック塀に叩きつけられていた。
後ろを見ると、みたことのある顔の男子高校生が立っていた。
―湊崎さんだ。
「走れ!」
湊崎さんが、私の腕を掴んで走り出す。
何が起こっているのか分からない。しかし、今は走るしかできなかった。
考える前に、体が動いていた。
―なんで私を助けてくれたんだろう?