ツンデレ王子とアリス

「君、名前は？」


やめてください、話しかけないでください…

心の中で思いっきり訴えてみる。周りから（特に女子）から痛い程の視線を感じる。


私が湊崎さんを避ける理由は二つある。


一つは周りの視線が痛いから


もう一つは…


「く…く…楠…原…!」

「下の名前は？」


「あ…有里…朱…です…!!」


…私は極度の人見知りなのだ


初対面の人とは和音ちゃんがいないとまともに会話すらできないほどだ。


「楠原有里朱？」


名前を聞き返され、私は首が折れんばかりの勢いで首を縦に振った。


「よろしく」


「…よ…よろしく…です…」



…これが、私と湊崎さんの最初の会話だった。