振り向キッス
ありえない出会い
ガタンゴトン
ガタンゴトン
ガタンゴトン
部活が終わり、
あたしはいつもと同じ電車に揺られ
携帯をかまいながら外を見た。
気持ちのいいくらい何もない、畑ばかりの田舎な町。
本当に嫌だ。
電車だって一時間に一本出るだけで、
外にでればネギ臭い。
ため息ばかり出る。
部活をするために推薦で入ったこの高校。
毎日6:50に家を出て8:00に学校につく。
学校につくまでが一番辛いわけで…
1日授業をうけたら、
すぐに部室に行き着替えて部活の準備をする。
部活が終わり、駅に向かって全力疾走。
息を切らして電車に乗り込み
今に至る。
こんな生活が当たり前になりつつある
現実がこれから3年も続くだなんて恐ろしい…(笑)
そんなことを考えてる間に電車は止まり、
あたしは流れるよう出た。
自転車の鍵を2週間前になくしたせいで歩いて帰らなきゃいけないと思うと、更に萎えてきた……
とりあえず携帯を取り出し、
帰る知らせを、と
お母さんに電話する。
「プルルル
プルルル……」
「あ、もしもしお母さ…!」
ドン、
バキっ!
………え?
頭が真っ白になった。
目の前には画面が割れているあたしの携帯。
ショックのあまり声もでない。
高校に入学すると共に、お父さんがはりきって買ってくれた一番高いスマホ。
お父さんに申し訳ない気がして悲しくもなってくる。
あたしが頭の中で得体も知れない何かと会話していたら、
「……携帯。弁償します…。」
やわらかい声がした。
ふと顔を上げてみるとそこには暗くてもよくわかる彼がいた…
時が止まって暗闇の中でじっと彼を見つめた。
彼もあたしを見つめる。
しばらくすると電車が遠のく音が今更耳に響いた。
その音はまるであたしたちに
何か運命を置いて逃げていったような気がした。