LOVE PRINCESS(壱&沙耶)
沙耶ちゃんが遊園地が好きなのは知っていた。
妹のかおりからも、
『沙耶と遊園地に行くと吐きそうになる』
なんて聞いていたくらいだったから。
おばけ屋敷も。
勿論、絶叫系も。
とにかく、激しい乗り物が大好きらしい。
そんな沙耶ちゃんに今日は、付き合うとは決めていた。
だから遊園地を選んだわけだし。
でも……さすがに乗り過ぎじゃないか?
園内の乗り物は、ほぼ乗り尽くしてしまった。
ジェットコースターに至っては、既に3回。
別に苦手ってわけじゃないけど、さすがの俺も体力的にキツくなってくる。
「これ、さっき乗ったよねー。
もう1回ジェットコースターにするー?」
そんな俺に気付いていない沙耶ちゃんは、満面の笑みで回転ジェットコースターを指差した。
俺は苦笑いを返す。
「ちょっと休憩して何か飲まない?」
その辺のベンチを指差すと、
「あ、ごめん!
つい楽しくて……。
私、何か買ってくるね!」
「え? あ、や…」
“それなら俺が買ってくるよ。”その言葉を言う前に沙耶ちゃんは走って行ってしまった。