LOVE PRINCESS(壱&沙耶)
驚いた俺は、勢いよく腰を下ろす。
「い、やぁっ!」
その反動で少し揺れた観覧車。
目の前の沙耶ちゃんは、窓枠に捕まり悲鳴をあげた。
え、もしかして……
「沙耶ちゃんって、観覧車恐いの?」
そう尋ねると、沙耶ちゃんは涙を溜めた目で俺を見つめて何度も頷いた。
「えっ、ジェットコースターとか大丈夫だったよね?」
「……あれは速いもん」
そう力なく答えた沙耶ちゃんに、思わずプッと笑ってしまった。
そんな理由なの?
速いのは大丈夫で、遅いのが駄目っていう。
「高所恐怖症なんだよ」
「え? それって高い所が駄目な人のことを言うんだよ」
「そうだよ、だから恐いんだもん」
「いやいや、沙耶ちゃん。
ジェットコースターは平気でしょ?
あれも高さあるよね」
「だから、ジェットコースターは速いから大丈夫なのっ」
何度も何度も速度で決め付ける沙耶ちゃんに、我慢出来なくなった俺は噴き出してしまった。