君と、秘密の神隠し




今から17時間前――――・・・



お気に入りのベッド。
お気に入りの制服。
お気に入りの本―――。


学校に登校するのに余裕を持っていた私は、本を持ってベッドにダイブした。
制服が皺になるでしょう?!とお母さんに怒られそうだけど、これが楽なのだ。



本を捲ると、古さを感じるパリパリ・・・という音が部屋に響く。
とりあえず、お母さんは上がってこなさそうだし、ゆっくり読もう。



お気に入りの本の題名は、”フランス神話”
昔、おばあちゃんの家に行った時に、この本をくれたんだ!
それからというもの、11年間ずっと読み続けている。



このお話の、不思議な感じが私は気に入っていた。


もともと、UFOとか、幽霊とか信じられない私だけれど、なんでかこのお話だけは信じられる。


人間に恋心を抱いていた神様が、その女の人を隠してしまうお話なんだけど。
”神隠し”と今では呼ばれている。




100年に一度、神隠しが起こるらしいけれど、神隠しが起こってしまえば、人間世界にいる人達はその人のことを忘れてしまうらしい。



小さい頃は、これで何度も泣かされたなぁ・・・。



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