君と、秘密の神隠し
と、しみじみ考えていた時。
「リリカ!!また制服でベッドに入って!ほら、もう7時30分よ?!」
額に青筋をたてたお母さんが降臨してきた。
片手にはしゃもじ。
もう片方にはフライパン。
お母さん、しゃもじじゃなくてお玉でしょ・・・。
とまぁ、ツッコミは置いといて。
まだ微妙にカタコトの日本語は、今はいないお父さんに教えてもらったそうだ。
小さい頃から日本語だったあたしは、ペラペラだけど。
「ごめんなさいって!じゃぁ、この本戻しててね?!愛してるよ、お母さん!」
「え?わ、私もよリリカ!」
慌てた声でそう叫ぶお母さんの声を背中で感じながら、急いで玄関をでた。
玄関に出た瞬間、まだ寒い空気が肌に感じて、身震いする。
はぁ~っと息を吐けば、白い息がでる。
朝から雪も積もってて、綺麗っちゃぁ綺麗・・・だけど。
「リーリーカー!お前いい加減俺のこと忘れてどうすんだよ?!」
「い、いひゃい!」
玄関の傍で座り込んでいた、真っ黒い影にホッペをつねられた。