君と、秘密の神隠し





つまり、今も大好きってこと。
ぶっきらぼうだけど、優しい。
照れるとそっぽを向いてしまうけど、見えている耳はしっかり真っ赤。
実は甘いものが大好き。
昔から私を守ってくれる。



そんな弘樹を想い続けて11年。
フランスから日本に来たとき、初めて友達になってくれたのが弘樹で、今も昔も弘樹しか見えない。




ずっと、ずっと弘樹の幼馴染としてでもいいから、傍にいられると思っていたのに、別れは突然。





そして、出会いも突然なのだと思い知らされるのは、あともう少し・・・。




***




学校に着くと、やっぱりギリギリだった。
生徒指導の先生には睨まれるし、こけちゃうし・・・。


なんだか今日は嫌な予感がする。
意外とあたしの勘はあたるんだよ!
っていうのは冗談で、早く教室に行かなくちゃいけない。


(が。
・・・事前に言っておく。
私は、超がつくほど運動が苦手だ。
体力もない。)


「はぁっ、はぁっ待ってよぉ~!!」


い、息が苦しい・・・!!


さきさき一段ずつ飛ばして上っていく弘樹を呪いながら、必死に足を上げる。
まだ一年生は2階だからいいけど、三年生になったら4階!



そう考えると、途方に暮れる。


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