CLOVER
驚く私をじっと見つめて、
大智は優しく、微笑んで言う。

「ちょー幸せだよ。」

にっこりと微笑む大智。
お別れを告げるはずだったのに。
どうしてそんな言葉で引き止めるの?
きっと、大智も気づいている。
私は大智を好きじゃないって。
君を、心から愛してないって。
私は、まだあの人を探し続けているって...

私は、心にあった言葉を失った。
大智...
大智.........
私は、あなたを求めていたのかな??
あなたに愛されているって、
信じてもいいの?

私は、あなたをいつか好きになる日が来るのかな。

...なんて思えるはずないのに、思い込んだ。
大智を裏切ることが、
あなたの手を離すことが、
嫌ではなくて、怖かった。

あの日、未来が見えたなら、
私と大智はどうなっていたんだろうね。

「優奈も、幸せ。」

になりたいよ。
気づいたらこんなことを口にしていた。

取り戻しがつかないと、確信した。

「ずーーっと、一緒がいいね☆」

「何、いきなり。」

笑った。
いっぱい話した。

空を見たら、
真っ赤な夕焼けが二人を照らしてた。
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